川口というMadな街でバツイチ夫婦とそのこどもが繰り広げる、別に面白くも楽しくもない現実味のある寓話。ノルウェー行きの飛行機で観た。なぜ、こんな単館系の映画をKLMオランダ航空がじぶんのレパートリーに入れたのかは不明。不明なのだが、楽しんだ。
筋はかなりベタで、細かい演出もハショられていて、予算なくて大変そうだなー、という気持ちはあるのだが、それはそれでよいような気がした。いままでは、こういう映画に対してそういうやさしい気持ちは持っていなかった。
田畑智子の安定感はよいね、最後は笑わせたほうがよかったんじゃないか、もっとスギちゃんのセリフを拾ったほうがいいんじゃないか、川口色をもっと出してもいいんじゃないか、とか色々、文句つけどころはあるんだが、そういう色々をエンディングテーマのGlim Spankyがすべて吹き飛ばしてくれた。「何やこのオバハンは?」と思ったのだが、自分より10も若いハスキーボイスの女の子だった。
荒井由実の「ひこうき雲」をカバーしていて、世間では荒井由実とか、和田アキ子の再来と謳われているようだが、ぼくは中島みゆき、山崎ハコの系譜を継ぐミュージシャンがついに出てきたのかとノルウェーで感動していた。本人はそんなこと言われてもオッサンウザい、というだけなんだろうけど、ウザくてもそういう喜びを文字にしたい。まったくもって今回の出張とは関係ないけど、このミュージシャン、この音楽に出会えてよかった。いくつ年をとっても、こういう出会いをしたい。